タマゴ(賃料)が先か?ニワトリ(価格)が先か?

価格と賃料

元物と果実

民法に「元物と果実」という概念があります。
元物とは収益を生む元になるものをいい、果実とは元物からとれる収益の事をいいます。

ニワトリはタマゴを生み出しますので、ニワトリは元物、タマゴは果実といえます。
これを不動産で例えるのであれば、不動産が元物でそこから生み出される賃料収入が果実になります。

ニワトリが先かタマゴが先か?

「ニワトリが先かタマゴが先か?」というジレンマがありますが、不動産の価格(ニワトリ)と賃料(タマゴ)の関係はどうでしょうか?

①価格があるから賃料があるのでしょうか、それとも②賃料があるから価格があるのでしょうか?

経済学者たちの答えはほぼ決まっており「②賃料があるから価格がある」と考えます。

価格上昇が先か?賃料上昇が先か?

それでは、不動産価格の上昇と賃料の上昇の関係はどうでしょうか?

①不動産価格が上昇したから、賃料が上昇する
②賃料が上昇したから、不動産価格が上昇する

先ほどの通りに考えれば、②が正しいように思えますが、現実を見ると必ずしもそうはなっていません。

(例えばバブル期には価格が先に上がり、その後賃料が上昇しました)

その理由には様々な意見があります。

様々な意見

・現実には価格自体が独自に決定されている。
・賃料の動きが遅いから地価が先に上がっているように見える。
・賃料の上昇期待だけで地価が上昇する性質がある。

収益還元法と積算法

話は少し変わりますが、不動産鑑定士が①価格鑑定を依頼された場合と②賃料鑑定を依頼された場合の手法をご紹介します。

①価格鑑定を依頼された場合

収益還元法という手法により、次の式で価格を求めます。

純収益÷還元利回り=価格

純収益というのは収益(賃料)の事ですので、賃料から価格を求めていることになります。
賃料ありきで価格を求めるので経済学の理論通りです。

②賃料鑑定を依頼された場合

積算法という手法により、次の式で賃料を求めます。

基礎価格×期待利回り+必要諸経費=賃料

上の式を簡単に言うと、価格×利回りで賃料を求めていることになります。
経済学的には、価格から賃料を求めることができないはずですが、この式は良いのでしょうか。

価格から賃料を求めていいの?

答えは少し難しくなってしまいますが、「価格を求める際の還元利回りは市場競争で決まるものであり、期待利回りは市場での取引利回りを観察することにより定めることができる」ものと考えられます。

様々な議論がありますが、積算法は不動産鑑定評価基準で認められている手法ですので、適用しなければ賃料評価はできません。

終わりに

このように不動産価格と賃料には複雑な関係があります。
不動産価格や賃料・地代でお困りの方はお気軽に不動産鑑定士にご相談ください。

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