バレてはいけない?不動産鑑定の現地調査の方法

不動産鑑定における各種調査

不動産鑑定では、対象不動産について徹底的に調査を行います。

大まかには、次の3つの調査に分類されます。

・役所調査
・設備調査
・現地調査

今回のコラムでは現地調査についてご紹介します。

現地調査の内容

現地調査は実地調査とも呼ばれ、実地調査を行った日及び確認した事項等は不動産鑑定評価書に記載しなければなりません。

現地調査の項目としては、次のようなものがあります。

土地について

  • 登記書類との照合
  • 間口・奥行の長さ(特に間口)
  • 高低差・傾斜の有無
  • 対象地上の高圧線・送電線の有無
  • 隣地越境物の存在
  • 境界標の確認
  • セットバックの有無及びその状況
  • 土壌汚染・地下埋設物の存在の端緒

建物について

  • 登記書類や固定資産評価通知書等との照合
  • 賃貸不動産については賃貸経営の状況
  • 経済的残存耐用年数・観察減価の判定
  • アスベスト・PCB等の有害物質の存否

道路について

  • 前面道路幅員
  • 接道状況
  • 舗装の有無
  • 歩道の有無
  • 道路の連続性

その他

  • 地域判定
  • 周辺の不動産の利用状況
  • 周辺の嫌悪施設の有無
  • 異臭・騒音

これらの調査は事前に役所調査や机上調査を行ってから行います。

また、それぞれの項目をリスト化して写真記録等すると効率的です。

バレてはいけない場合

不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価書を作成するためには現地調査は省略できません。

依頼者様が所有者であれば全く問題ありませんが、依頼目的によっては対象不動産の所有者にバレないように現地調査をしなければいけない場合があります。

このような場合は大変です。
(メジャーを取り出して間口など測ろうものなら「何してるんですか?」となってしまいます)


まだ不動産鑑定士になりたての頃に、現地調査中に隣地の所有者に問い詰められたことがあります。
(この経験のおかげで、今ではバレないように現地調査することが得意になりました)

円滑な現地調査のために

現地調査はもちろん違法なものではありませんが、依頼者の利益を守るために所有者にバレるようなことがあってはなりません。

そのため、私がいくつか試した上での現地調査のポイントをご紹介します。

1.とにかく素早く

当たり前のことですが、時間をかけるとリスクが高まりますので直前にどの順番でどこを撮影するのかを頭に入れたうえで、素早くチェックします。

一通りチェックが終わったら一度その場を離れて、チェック漏れがあった場合のみ再び現地に向かいます。

2.一人で行かない

男性一人で不動産の写真を撮っているのは目立ちますし、不審に思われてしまうのは仕方のないこととも言えます。
そこで、私は一人での現地調査は避けています。
(妻にお願いして一緒に行ってもらったこともあります)

3.目立たないカメラを使う

スマホは非常に便利です。無音カメラのアプリを使えば音も出ずに目立たないで済みます。

デジカメは機能的には優れているのですが、隠れて不動産を撮影するには違和感があるようです。

また、ボールペンや車のキーの形をしたカメラが販売されていますがこれはおススメできません。
盗撮事件等でも使われてしまっているので、当社ではこのような機器は一切使用しておりません。

4.付近に人が居たらいなくなるまで待つ

付近に人がいるときに現地調査をすると声を掛けられるリスクがありますので、いなくなるまで待ちます。

走って逃げる・・

「詳細な現地調査」と「バレてはいけない」はトレードオフのような関係ですが、経験が多くなると上手にできるようになってきます。


なお、現地調査で恐い思いをした不動産鑑定士は私だけではないようで、多くの鑑定士から「走って逃げた」などの話を聞きます。


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