ラブホテルの鑑定評価

ラブホテルの鑑定評価
不動産鑑定士をしていると、予想外のご相談に遭遇することが多々あります。
そのなかで今回は、ラブホテルの鑑定評価のご相談を受けた際のことをコラムに綴ります。
(※守秘義務を遵守するため、詳細は一切伏せております。また事実と異なる内容も含まれますのでご了承ください。)
経緯
先日、ラブホテルの鑑定評価書が欲しいというご相談を頂きました。
これまで様々な不動産の鑑定評価をしてきましたが、ラブホテルの鑑定評価の経験はありません。
不安と好奇心を持ち、詳しいお話を伺いに行きました。
ホテルの内見
相談者様は、爽やかで非常に聡明な方で、ご事情を説明して下さった後に、ラブホテルの内見をさせて下さいました。
普段であれば絶対にできないであろう実地調査はとても刺激的でした。
また、相談者様から最近のラブホテル業界の事情についてもお伺いすることができ、大変参考になりました。
リサーチ方法
不動産鑑定士は不動産の専門職ですが、不動産の全てを知っているわけではありません。
わからないことはしっかりと調べれば良いというのが私の信条です。
評価に対応するために、さっそくラブホテルの鑑定評価について調べ始めました。
鑑定評価の方法
- 費用性⇒原価法
- 市場性⇒取引事例比較法
- 収益性⇒収益還元法
不動産鑑定評価は原則として上記「価格の三面性」からアプローチします。
一般的に、ラブホテルの取引事例の収集・要因比較は困難でありますので❷取引事例比較法は適用できません。
そこで、❶原価法と❸収益還元法を適用して、鑑定評価額を導くことになります。
評価の難しさ
ラブホテルという特殊なアセットに対して、評価の難しさを感じたのが次の点になります。
取引事例等の収集が困難
取引事例・賃貸事例は市場で成立した実証的な資料として取り扱われます。
ただし、その前提として、同地区・同用途・同グレードの事例であることが必要です。
様々な方法で事例を探しましたが、規範性の高い事例の収集は非常に困難でした。
ラブホテルの規制
ラブホテルは風営法・旅館業法の規制を受け、新築が難しく、老朽化しても再建築ができない場合があります。
建物の経済的減価把握の困難性
ラブホテルの経済的陳腐化の判断は、経営者の観点から判断が必要なため簡単には行えません。
資料の不足
オフィスや住宅と違ってマーケットレポート等存在しません。
また、ホテルにより収益性が大きく異なるであろうことから標準的な収益の把握が困難です。
まとめ
不動産の種類はさまざまであり、その全てについてデータ・資料が整備されていることはありません。
不動産鑑定士はこのような特殊な不動産でも、興味と好奇心を持ち、探求していくことが必要であると考えております。
論語にこのような言葉があります。
『子曰、知之者不如好之者、好之者不如楽之者』
(子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず)
不動産鑑定士

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