【不動産と負動産】負動産は捨てられない?

不動産と負動産
不動産は通常、土地と建物のことをいい、人間の生活と活動に欠くことのできない基盤です。
しかし、不動産を有効に活用できないと費用だけが発生する「負動産」となってしまいます。

よくあるケース
例えば、子供が首都圏にマイホームを所有しており、地方の実家を相続するケースがあります。
この場合、子供は実家を相続しても固定資産税や管理費・修繕費の負担だけがかかってしまいます。
売れる不動産であればいいのですが、売れない不動産である場合には大変です。
・建物は老朽化して使えない
・所有し続けると固定資産税が負担
・建物取壊し費用は高額
・建物を取壊したら土地の固定資産税が激増
不動産を手放す方法は?
負動産を手放したい場合に取り得る対応方法についてまとめます。
売却
可能であればこれが一番いい方法です。
地場の不動産屋であれば相談には乗ってくれるはずなのでまずはこれを検討すべきです。
贈与
価格がつかない場合はタダでもらってもらうことを検討します。
負動産は所有しているだけでマイナスですのでタダでも譲ってしまうべきです。
寄附
市町村や公益法人に寄附することを検討します。
相続放棄
そもそも相続放棄をすることを検討します。
不動産は捨てられる?
いらない不動産を単に手放すことができないのか検討します。
上記の例で言えば、「パターン3:寄附」「パターン4:相続放棄」があげられますが、次のような問題があります。
「パターン3:寄附」負動産の場合には寄附を断れれてしまうことがあります。
「パターン4:相続放棄」放棄をしても管理責任が引き続き残ってしまいます。
このように現時点で負動産を単に手放すことは難しい状況です。
法律の改正に向けて
現在「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正」が検討されている最中です。
中間試案によると次のような内容が試案されています。
- 土地所有権の放棄を認める制度の創設(要件・手続き)
- 共有持分の放棄(検討)
- 建物及び動産の所有権放棄の規律は設けない
中間試案によると、土地所有権の放棄を認める制度を考えているようです。
土地所有権の放棄を認める要件及び手続きは次の通りです。
① 土地の権利の帰属に争いがなく筆界が特定されていること。
民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案
② 土地について第三者の使用収益権や担保権が設定されておらず,所有者以外に土地を占有する者がいないこと。
③ 現状のままで土地を管理することが将来的にも容易な状態であること。
④ 土地所有者が審査手数料及び土地の管理に係る一定の費用を負担すること。
⑤ 土地所有者が,相当な努力が払われたと認められる方法により土地の譲渡等をしようとしてもなお譲渡等をすることができないこと。
負動産・所有者不明土地が社会問題となっており、土地所有権の放棄制度及び不動産登記制度の整備の動向が気になるところです。
改正が決まりましたら、またコラムで御紹介したいと思います。
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