土地残余法の意義
土地残余法は、「収益性」から土地の価格を求める手法で、不動産鑑定評価基準の留意事項に次の通り記載されています。
対象不動産が更地である場合において、当該土地に最有効使用の賃貸用建物等の建築を想定し、収益還元法以外の手法によって想定建物等の価格を求めることができるときは、当該想定建物及びその敷地に基づく純収益から想定建物等に帰属する純収益を控除した残余の純収益を還元利回りで還元する手法(土地残余法)を適用することができる。
不動産鑑定評価基準 留意事項
意義の解説
収益還元法は次のように分類されますが、土地残余法は直接還元法に分類されます。
土地残余法が直接還元法に分類されるのは、「一期間の純収益」から収益価格を求めるためです。
土地残余法を式で表すと次のようになります。
土地残余法
しかしこの式ではわかりにくいので、簡略化すると次のようになります。
ここで、分子の「一体純収益-建物純収益」とは「土地の純収益」に他なりません。
つまり、「土地の純収益」を「土地の還元利回り」で除したものが「土地価格」になるという手法です。
構成要素の解説
上記の通り、土地残余法の適用には”土地の純収益”と”土地の還元利回り”が必要となります。
土地の純収益
まず土地に最有効使用の建物を建築することを想定して、この一体建物について、一体純収益を査定します。
(総収益−総費用=一体純収益)
土地残余法は土地価格を求める手法ですので、必要なのは一体純収益のうち土地純収益のみです。
そこで、一体純収益から建物純収益を控除することにより土地純収益を求めます。
※建物の純収益は、建物価格に建物の還元利回りを乗じることにより求めます。
土地の還元利回り
還元利回りを求める方法は非常に難しいので、詳細は別のページに譲ります。
土地残余法による収益価格
”土地の純収益”を”土地の還元利回り”で除して得た価格が土地の収益価格となります。
適用する場面
土地残余法は次の類型の不動産を求める際に適用(または準用)します。
- 更地
- 対象不動産が更地である場合には、最有効使用の建物を賃貸することを想定して適用します。
- 建付地
- 建付地は、敷地上の建物が新築あるいは築後間もない場合には土地残余法を適用できます。
(築古だと土地の純収益を適切に求められないため)
- 借地権
- 対象不動産が借地権である場合にも、借地上の建物の賃貸を想定して適用できます。
(ただし、実務的には”借地権残余法”と呼ばれます。)
- 区分地上権
- 対象不動産が区分地上権である場合には、土地残余法を準用することができます。
土地残余法の注意点
不動産が敷地と建物等との結合によって構成されている場合において、収益還元法以外の手法によって建物等の価格を求めることができるときは、土地残余法を適用することができるが、建物等が古い場合には複合不動産の生み出す純収益から土地に帰属する純収益が的確に求められないことが多いので、建物等は新築か築後間もないものでなければならない。
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