賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準とは
賃貸等不動産は直ちに換金することに制約があるため、これを時価評価してその差額を損益とすることは適切ではないと考えられています。
一方で、賃貸等不動産の時価を開示することは投資家等の財務諸表の利用者に有益な情報を提供することになり、企業のリスク管理意識を高める効果もあることから賃貸等不動産に該当する場合には時価注記を行うことになりました。
つまり「賃貸等を目的として保有している土地や建物などの不動産に関しては、期末時点における時価などを注記として開示する必要がありますよ」という会計基準です。
賃貸等不動産の時価開示の判定
賃貸等不動産の時価開示が必要か否かについてのフローチャートです。
賃貸等不動産とは?
賃貸等不動産とは、文字のとおり賃貸収益やキャピタルゲインの獲得を目的として保有している不動産の事です。
ただし、棚卸資産に該当されている不動産やファイナンスリース取引の貸手における不動産は除かれます。
「賃貸等不動産」とは、棚卸資産に分類されている不動産以外のものであって、賃貸収益又はキャピタルゲインの獲得を目的として保有されている不動産(ファイナンス・リース取引の貸手における不動産を除く。)をいう。
物品の製造・販売、サービス提供、経営管理に使用されている場合は、賃貸等不動産には含まれない。
賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準 第4項⑵
重要性とは?
「重要性」とは企業会計上の重要性であり、不動産鑑定士が判断するものではなく、企業会計基準等を適用する依頼者である企業が判断するものとなります。
重要性が乏しいか否かは、貸借対照日における時価を基礎とした金額と当該時価を基礎とした総資産との金額の比較をもって判断するとされています。
※ただし、会計基準には具体的な数値基準は明示されておらず、企業の実態に応じて判断されます。
賃貸等不動産の注記事項
賃貸等不動産を保有している場合には次の事項を注記する必要があります。
(賃貸等不動産の総額の重要性が乏しい場合を除く)
- 賃貸等不動産の概要
- 賃貸等不動産の貸借対照表計上額及び期中における主な変動
- 賃貸等不動産の当期末における時価及びその算定方法
- 賃貸等不動産に関する損益
価格調査が求められる場面
「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」では次のような場合に価格調査が求められる場合があります。
(1)賃貸等不動産の総額についての重要性を判断する際に、賃貸等不動産の時価を算定する場合
そもそも賃貸等不動産の総額の重要性が乏しい場合には注記を省略することができることから、この重要性の判断を行うために価格調査を活用するケースがあります。
(2)賃貸等不動産の時価を財務諸表に注記するために賃貸等不動産の時価を算定する場合
こちらのケースの方が一般的です。
なお、重要性の有無により時価算定の方法が異なります。
重要性の判断 | 算定方法 |
---|---|
重要性がある場合 | 原則的時価算定 |
重要性が乏しい場合 | 原則的時価算定またはみなし時価算定 |
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