不動産鑑定業賠償責任保険について

専門家と呼ばれる職業は少しの失敗が重大な結果を招き、訴訟に発展しやすいことから、それに備えるための保険があります。

例えば弁護士・税理士・弁理士・司法書士・FP・医師・薬剤師・看護師等にはそれぞれ「専門職業人賠償責任保険」が用意されていますが、不動産鑑定業者にも同様の保険があります。

今回は「不動産鑑定業者の保険」についてご紹介します。

不動産鑑定業賠償責任保険とは?

この保険は日本不動産鑑定士協会連合会の業者会員または個人会員のみ加入することができる保険で、次ののような内容になっています。

不動産鑑定士の業務によって作成された評価書によって、損害賠償請求が提起され、賠償責任を負担することになった場合に

①不動産鑑定士の業務によって作成された評価書

対象となるのは次のものです。

・不動産鑑定評価書等(鑑定法第3条第1項業務)
・意見書・レポート等(鑑定法第3条第2項業務)

※業者名と資格名が記載されたものに限る

支払の対象となる損害の一部が支払われます。

②支払の対象となる損害の一部

対象となるのは次のものです。

・確定判決による損害賠償金
・訴訟費用(弁護士報酬等)

施設所有管理者特約が自動セットでついており、

③施設所有管理者特約

対象となるのは次のものです。

・事務所の使用等により生じた賠償責任
・業務上の偶然な自己により生じた賠償責任

サイバープロテクターという情報漏洩等に対するオプション保険にも加入できます。

④サイバープロテクター

対象となるのは次のものです。

・外部的要因(サイバー攻撃等)
・内部的要因(うっかりミス等)

による情報漏洩等に起因する賠償損害

具体例

具体的にどのようなケースで保険が支払われるのかご紹介します。

不動産鑑定士に非があるケース

接道義務を満たしていないにもかかわらず、係る要因を見落として鑑定評価書を発行し依頼者に損害を与えた場合。

⇒損害賠償と弁護士費用が保険により補填

CASE
1

不動産鑑定士に非がないケース

鑑定評価書の提出先が当該鑑定評価書が不当だとして提訴したものの、裁判では不動産鑑定士が全面勝訴した場合。

⇒弁護士費用が保険により補填

CASE
2

ポイントは不動産鑑定士に非があろうとなかろうと費用の一部が補填されるということです。
不動産鑑定士に非がある場合には損害賠償を支払うために役立ち、不動産鑑定士に非がない場合にも、弁護士費用等につき保険が下りるため防衛になります。

事務所での事故等(特約)

事務所で依頼者様と打ち合わせの際に偶発的な事故によりケガをさせてしまった場合。

⇒損害賠償を保険により補填

CASE
3

加入率

年度加入率
2017年44.0%
2018年45.5%
2019年47.1%
2020年48.1%
2021年48.9%

保険加入率は年々増えてきていることがわかりますが、2021年度は【48.9%】です。

およそ半数の不動産鑑定業者が加入し、残りの半数は加入していないことになります。

過半数も加入していないということはあまり必要ない保険なのでしょうか?

不動産鑑定業賠償責任保険は加入不要か?

リスクに対する考え方は様々かと思いますが、個人的には加入の一択だと思っています。

保険料は高額ではないですし、人間誰であろうと失敗する可能性があるからです。

たとえばタクシードライバーは運転のプロですが、保険に加入していないタクシーに乗りたいと思う人はいないのではないでしょうか。

不動産鑑定業者も同じかと思います。

まとめ

当社は不動産鑑定事業を開業してからずっとこの保険に加入しています。

現在まで一度も使うことなく営業できておりますが、今後も使うことなく「無駄な保険料たくさん払ったな~」と笑って言えるような不動産鑑定士人生を目指したいです。

不動産鑑定コラム無料購読

不動産鑑定士

倉坂 和斗
倉坂 和斗税理士試験科目合格・宅地建物取引士・FP技能士
(公)日本不動産鑑定士協会連合会 会員
(公)東京都不動産鑑定士協会 会員

不動産の価値証明が必要な場面でお役に立ちます

お気軽にお問い合わせください

  • 明確な料金体系により安心なお取引
  • 常に迅速な御対応
  • わかりやすいご説明