不動産鑑定評価基準とは?(内容・経緯等)

不動産鑑定評価基準

不動産鑑定評価基準とは?

不動産鑑定評価基準とは、不動産鑑定士が鑑定評価を行うにあたってのバイブルです。
しかし「不動産鑑定評価基準」自体は法律ではなく「国土交通省の事務次官通知」という位置づけになります。

法律でないのであれば、これを守らなくても良いのでしょうか。
答えは当然ながら"いいえ"です。

「不動産鑑定評価基準」は「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づき不当鑑定として懲戒処分を行う際の判断根拠になりますので、これに準拠しない不動産鑑定は不適切であり、その不動産鑑定評価書を作成した不動産鑑定士は懲戒処分に課せられる可能性があります。

不動産鑑定評価基準の内容は?

不動産鑑定評価基準は、「総論」と「各論」によって構成されています。

<総論>
第1章 不動産の鑑定評価に関する基本的考察
第2章 不動産の種別及び類型
第3章 不動産の価格を形成する要因
第4章 不動産の価格に関する諸原則
第5章 鑑定評価の基本的事項
第6章 地域分析及び個別分析
第7章 鑑定評価の方式
第8章 鑑定評価の手順
第9章 鑑定評価報告書

<各論>
第1章 価格に関する鑑定評価
第2章 賃料に関する鑑定評価
第3章 証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価

参考:不動産鑑定評価基準

不動産鑑定評価基準改定の経緯

不動産鑑定評価基準1964年に制定されて以来、これまで改正されていますので、その経緯をご紹介します。

1964年(昭和39年)

「不動産の鑑定評価基準(昭和39年基準)」制定

1965年(昭和40年)

「宅地見込地の鑑定評価基準」制定

1966年(昭和41年)

「賃料の鑑定評価基準」制定

1969年(昭和44年)

「不動産鑑定評価基準(昭和44年基準)」

「不動産の鑑定評価基準」「宅地見込地の鑑定評価基準及び「賃料の鑑定評価基準」を一本化。

1990年(平成2年)

全部改正

・土地基本法の基本理念の導入
・運用上の留意事項を策定
・価格・賃料概念の整理

2002年(平成14年)

改正

・DCF法の導入
・市場分析の充実
・試算価格の調整の考え方の整理

2007年(平成19年)

改正

・各論第3章「証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価」の追加

2009年(平成21年)

改正

・価格等調査ガイドラインの策定を踏まえた改正

2014年(平成26年)

改正

・建物に係る価格形成要因の充実
・未竣功建物等鑑定評価の導入
・調査範囲等条件の新設
・国際評価基準(IVS)との調和

不動産鑑定評価基準の改正点
詳しくはこちら

不動産鑑定士試験

不動産鑑定士試験では「鑑定評価理論」という受験科目がありますが、この科目は「不動産鑑定評価基準」(運用上の留意事項も含まれます)そのものです。

<短答式>
鑑定評価理論(マークシート):2時間
行政法規:2時間

<論文式>
鑑定評価理論Ⅰ(論文):2時間
鑑定評価理論Ⅱ(論文):2時間
鑑定評価理論(演習):2時間
民法:2時間
経済学:2時間
会計学:2時間

ご覧の通り、出題形式こそ違いますが、鑑定評価理論が出題の半分を占めます。

そして鑑定評価理論の論文は「不動産鑑定評価基準」及び「運用上の留意事項」の暗記なしでは到底合格できません。

不動産鑑定評価基準(67ページ)
運用上の留意事項(38ページ)

私自身非常にキツイ思いをして暗記しましたが、暗記したことはそのまま仕事に役に立っていると感じます。

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