固定資産税評価額の評価方法~土地篇~

~はじめに~
当コラムは、「不動産鑑定をもっと身近に」感じて頂くことを目的としています。
そのため、正確性よりもわかりやすさを重視しておりますことをご承知おきください。
宅地の評価方法(固定資産評価基準)
固定資産評価基準において、宅地の評価方法は「市街地宅地評価法」と「その他の宅地評価法」があります。
まずは、これらの方法について簡単にご紹介します。
市街地宅地評価法
路線価方式とも呼ばれ、市街地の宅地を評価する場合には基本的にはこちらの方法を使います。
その他の宅地評価法
路線価を付設しないで評価する方式で、市街地以外の宅地を評価する場合にはこちらの方法を使います。
今回は、「市街地宅地評価法」の評価方法を詳しくご紹介します。
市街地宅地評価法の流れ
用途地区の区分
用途地区は、利用現況に基づいて区分されます。
この用途地区は、都市計画法上の用途地域とは範囲が異なります。
固定資産評価基準では、商業地区、住宅地区、工業地区、観光地区等に区分され、さらに普通商業地区、普通住宅地区、併用住宅地区等に細分されます。

状況類似地域の区分
用途地域において、利用上の状況が似ている地域(=状況類似地域)ごとに区分します。

主要な街路の選定
状況類似地域ごとに主要な街路を選定します。
主要な街路とは、評価の拠点として最もふさわしい街路とされています。

標準宅地の選定
主要な街路に沿接する宅地のうちから奥行、間口、形状から見て標準的なものと認められる宅地(=標準宅地)を選定します。

標準宅地の適正な時価評定
標準宅地の適正な時価は地価公示価格及び不動産鑑定士による鑑定評価額から求められた価格を活用して、これらの価格の7割を目途に評定します。

主要な街路の路線価付設
主要な街路に沿接する標準宅地の適正な時価に基づいて付設します。

その他の街路の路線価付設
その他の街路の路線価付設は、近くの主要な街路の路線価を基礎として、街路の状況・公共施設の接近状況等を考慮して付設します。

各筆の評点数の付設
路線価を基礎として、画地計算法を適用して付設します。
画地計算法とは、奥行・形状、利用上の法的制限などの状況に応じた画地補正率を乗じる方法をいいます。

各筆の評価額
各筆の評価額は次のように求めます。
各筆の宅地の評点数×評点1点当たりの価格(※)
評点1点当たりの価格は、市町村長が決定するものですが、通常の場合1点1円になります。
固定資産評価と鑑定評価
固定資産評価と不動産鑑定は下記の点で異なります。
(ほぼ全く別のものです)
固定資産評価 | 不動産鑑定評価 | |
---|---|---|
評価基準 | 固定資産評価基準 | 不動産鑑定評価基準 |
管轄 | 総務省 | 国土交通省 |
目的 | 固定資産税の課税 | 適正な時価の判定 |
評価 | 大量・画一評価 | 個別・案件評価 |
評価主体 | 市町村 | 不動産鑑定士 |
重要なことは、固定資産評価額は時価と思われがちですが、決して時価ではないということです。
固定資産評価額はあくまで、税金を課税するためだけの評価額です。
不動産の売買、遺産分割、財産分与等の場面で、このことを知らないと大変なことに・・。
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