日本不動産鑑定士協会連合会の「研究報告」とは?

研究報告

鑑定業務に携わっている不動産鑑定士は通常「日本不動産鑑定士協会連合会」(以下、連合会)に所属しています。

当然私も連合会に所属しておりますが、連合会では、不動産鑑定士が業務を行うに際して参考となるものとして「実務指針」「業務指針」「研究報告」を広く一般に公表しています。

(ただし研究報告については連合会非会員の方は一部のみ公表及び販売)

指針等の種類

連合会において公表されている指針等は次のようなものです。

実務指針

「実務指針」とは、指針の制定改廃に関する規程 第3条第2号の規定に基づき、不動産鑑定士が不動産鑑定評価等業務に係る実務を行うにあたり指針とすべきものとして、かつ当該業務の適正さを確認するための指針として連合会が公表するもので、不動産鑑定士が当該業務を行う際には準拠するものとし、準拠できない場合又は他の方法に拠る場合は、その合理的な根拠を明示しなければならないものをいう。

不動産鑑定士が守るべき指針

業務指針

「業務指針」とは、上記規程第3条第3号の規定に基づき、不動産鑑定業者が不動産鑑定業を営むにあたり指針とすべきものとして、かつ不動産鑑定評価等業務に係る実務の適正さを確認するための指針として連合会が公表するもので、不動産鑑定業者が、不動産鑑定業を営む際には、原則として準拠しなければならないものをいう。

∴不動産鑑定業者が守るべき指針

研究報告

「研究報告」とは、上記規程第3条第4号の規定に基づき、連合会が調査研究して作成した成果物のことをいい、不動産鑑定士にあっては不動産鑑定評価等業務を行うに際して、不動産鑑定業者にあっては不動産鑑定業を営むに際して、それぞれ参考になるものとして連合会が公表するものをいう。

∴鑑定士または鑑定業者が参考にすべきもの

今回は上記のうち、「研究報告」についてわかりやすく御紹介します。

会員向け研究報告

会員向けに公表・販売されている研究報告は下記の通りです。

発行年月タイトル
令和3年6月裁判のための鑑定評価等に関する研究報告17
令和元年12月配偶者居住権等の鑑定評価に関する研究報告42
令和元年9月土壌汚染地の鑑定評価117
令和元年6月借家権の鑑定評価に関する論点整理88
令和元年6月借地権の鑑定評価に関する論点整理42
令和元年5月ESG不動産投資の不動産の鑑定評価への反映108
※2021年7月時点の情報です。

研究報告はこの他にも多くのものがあり、全部で199もの研究報告があります。
会員であれば直近1年間は無料でダウンロードできるとのことです。

非会員向け研究報告

非会員向けには次の研究報告が公表・販売されています。

発行年月タイトル価格
令和元年12月配偶者居住権等の鑑定評価に関する研究報告-
平成28年2月第13回収益用不動産の利回り実態調査4,620円
平成27年2月第12回収益用不動産の利回り実態調査3,940円
平成26年2月第11回収益用不動産の利回り実態調査5,420円
平成25年1月第10回収益用不動産の利回り実態調査4,980円
平成24年2月第9回収益用不動産の利回り実態調査4,300円
※2021年7月時点の情報です。

不動産鑑定士試験と研究報告

不動産鑑定士試験では「不動産鑑定評価基準」を勉強することになりますが、研究報告の内容については当然触れられません。

受験者の方はこういう資料にも興味があると思いますが、試験の合格を優先させる方が重要です。
試験期間中は全く読む必要がありませんので、まずは試験に専念して下さい。

ただし合格後、実務開始前までには必ず読むことをお勧めします。

まとめ

私自身、連合会の会員になるまでその存在すら知りませんでしたが、会員になってからは全て目を通しています。

連合会がこのような成果物を蓄積してくれていることに非常に感謝しています。

私が彼方を見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからです。
(英語: If I have seen further it is by standing on yᵉ sholders of Giants.)

 Sir Isaac Newton

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