更地価格と建付地価格の違い

更地とは

不動産鑑定評価基準において更地は次のように定義されています。

更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。

不動産鑑定評価基準 総論第2章 第2節Ⅰ

※使用収益する権利とは借地権等のことです。

建付地とは

区分所有建物

建付地の定義はこちらです。

建付地とは、建物等の用に供されている敷地で建物等及びその敷地が同一の所有者に属している宅地をいう。

不動産鑑定評価基準 総論第2章 第2節Ⅰ

簡単に言うと、「建物と土地が同一所有者である場合の土地部分」となります。

更地価格と建付地価格

更地は、未利用の状態ですので常に最有効使用の建物が建てられると考えます。

一方、建付地は既に建物が建っているので、その建物によって使用方法が制約されます。

つまり建物と土地の適応状態によって建付地の価格が変わることになります。

建物と土地の関係大小関係
最有効建物が建っていない場合更地価格>建付地価格
最有効建物が建っている場合更地価格=建付地価格
最有効建物が建っている場合(一定の場合)更地価格<建付地価格

上記ケースごとに詳しくご説明します。

❶最有効の建物が建っていない場合

例えば、繁華性の高い商業地域に存在する土地に戸建住宅が建っている場合について考えてみます。


土地のポテンシャルを最高度に発揮するためには商業ビルが良いのですが、既に戸建住宅が存在していますので、その使用方法は戸建住宅が存在することによって制約を受けてしまいます。

一方、もしも更地であった場合には、最有効使用の建物である商業ビルとして使用することが可能です。

同じ土地であっても、土地に不適応な建物が建っている場合には土地のポテンシャルを活かしきれていない「建付減価」と呼ばれる減価が発生します。

このような場合には、更地価格>建付地価格となります。

❷最有効の建物が建っている場合

同じく、繁華性の高い商業地域に存在する土地に商業ビルが建っている場合について考えてみます。

最有効使用の建物が建っている場合には、「更地価格」と「土地建物一体価格の内訳としての建付地価格」は通常一致すると考えられます。

❸最有効の建物が建っている場合(一定の場合)

同じく、繁華性の高い商業地域に存在する土地に商業ビルが建っている場合について考えてみます。

最有効使用の建物が建っている場合の建付地価格は更地価格と一致するのが通常ですが、次のような場合には、建付地価格が更地価格を上回ることもあります。

既存不適格建築物の場合

「既存不適格建築物」とは建物を建築した当時は基準に合致していたものが、法律改正等によって基準に合わなくなった建物のことです。

例えば、建築当時は問題なかった容積率が容積率変更によって、現行の上限である容積率を超過している場合には、更地価格よりも高い建付地価格となり得ます。(必ずではありません)

賃貸用不動産等で市場状況が良好である場合

例えば、満室稼働の賃貸用不動産等の場合、次のような理由から更地価格よりも高い建付地価格となり得ます。

・更地の場合に必要となる未収入期間(建築期間)や費用を考慮する必要がない。

・すでに賃貸されており、収益の予測が行いやすいためリスクが低い。

まとめ

土地建物一体の不動産についてその土地価格を知りたいという場合、「更地として求める価格(独立鑑定評価)」と「建付地として求める価格(部分鑑定評価)」では価格が異なる可能性があります。

また、「更地評価」なのか「建付地評価」なのか自体が非常に重要な意味を持ちますのでご注意ください。

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