第6回(令和2年度)継続地代の調査分析が届きました

東京都不動産鑑定士協会から「第6回(令和2年度) 継続地代の調査分析」が自宅と職場に届きました。
この「調査分析」は地代評価に必須の書なのですが、一般の方はまずご存じないと思いますので今回ご紹介させて頂きます。
※似たような名称の研究成果物に日税不動産鑑定士会の「継続地代の実態調べ」という成果物がありますがこちらはまた別の機会にご紹介します。
継続地代の調査分析とは
「継続地代の調査分析」とは、継続地代の研究成果物として東京都不動産鑑定士協会 研究研修委員会で取り纏められている成果物です。
一般の方でも、東京都不動産鑑定士協会のホームページから購入することができます。(過去の分も含む)
第6回(令和2年度)継続地代の調査分析
発行:(公)東京都不動産鑑定士協会
発行日:令和3年5月
価格:2,500円+消費税込み
ページ数:101ページ
サイズ:A4

調査分析の歴史
- 平成22年度 継続地代の調査分析(平成23年3月発行)
- 平成24年度 継続地代の調査分析(平成25年3月発行)
- 第3回(平成26年度) 継続地代の調査分析(平成27年3月発行)
- 第4回(平成28年度) 継続地代の調査分析(平成29年4月発行)
- 第5回(平成30年度) 継続地代の調査分析(平成31年3月発行)
- 第6回(令和2年度) 継続地代の調査分析(令和3年5月発行)
調査分析の内容
地代は、売買価格のような比較的オープンな情報とは対照的に、地主と借主の当事者間のみで成立する極めてクローズドな情報ですので、その実態がわかりにくいものです。
そして地代の中でも継続地代(=更新時の地代)はさらに実態がつかめません。
このような継続地代という特殊な情報を調査分析してくれているのが「本書」で日税不動産鑑定士会の「継続地代の実態調べ」と並んで、地代評価を行うための必須の書と言えます。
目次
調査分析の目次を引用させて頂きます。
Ⅰはじめに
第6回(令和2年度)継続地代の調査分析より引用
1.用語の定義
2.データの特徴
Ⅱ継続地代
1.地代水準
2.査定固都税額に対する年額地代の倍率
3.更地価格に対する年額地代の割合
4.底地価格に対する年額地代の割合
5.底地割合と底地価格割合
6.共同住宅の地代の特性について
Ⅲその他の地代
1.建物所有を目的としない土地賃貸借
2.J-REIT
3.借地権
4.公共施設等の地代の特性
Ⅳ今後の課題
特に「Ⅱ継続地代」についての内容をご紹介させて頂きます。
地代水準
地代の額(円/㎡)です。
★区部・市部・都全体
★商業地域・住宅地域
★堅固建物・非堅固建物
の分類によりそれぞれまとめられています。
査定固都税額に対する年額地代の倍率
地代と固定資産税額及び都市計画税(以下、固都税)には密接な相関関係があります。(公租公課倍率と呼ばれます)
実際の固都税は所有者等にしかわかりませんので、査定した固都税を用いて公租公課倍率を求めたものです。
★区部・市部・都全体
★商業地域・住宅地域
★堅固建物・非堅固建物
の分類によりそれぞれまとめられています。
更地価格に対する年額地代の割合
継続地代は更地価格とも関係があります。
したがってこの更地価格に対する年額地代の割合は、継続地代にアプローチするために重要なデータの一つとなります。
(便宜上、更地価格は相続税路線価を0.8で割り戻したものを使用しています)
底地価格に対する年額地代の割合
継続地代は底地価格とも関係があります。
底地価格は実際の取引価格を使用しています。
底地割合と底地価格割合
似たような名称ですが、意味が異なります。
底地価格は相続税評価額と実際の取引価格が乖離している傾向がありますので両者の関係が調査されています。
底地割合=1-借地権割合(路線価)
底地価格割合=底地取引価格÷更地価格(路線価÷0.8)
つまり、底地割合は相続税評価の底地割合であり、底地価格割合は現実の取引価格ベースの底地割合のことをいいます。
共同住宅の地代の特性について
共同住宅は固都税の小規模宅地の特例という大きな恩恵があります。
そこで特に共同住宅について調査分析がなされています。
まとめ
地代交渉や裁判等の場面で、継続地代の鑑定評価が有効な場合がありますが、地主様も借主様も感情的な争いになってしまいがちです。
このような場面では、客観的な資料と根拠に基づく、中立かつ公平な鑑定評価が求められます。
「継続地代の調査分析」及び「継続地代の実態調べ」は多大な手間と時間をかけて作成された客観的な事実に基づく成果物で、その存在意義は極めて大きいと感じています。
研究研修委員会の先生方に頭が下がります。
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