相続税・贈与税の不動産評価のキホン!財産評価基本通達とは?

相続税・贈与税の不動産評価
相続と贈与は無償で財産を取得するため、取引価格が存在しません。そのため、税金を課するためにはその取得財産を評価する必要があります。
相続税法22条には、財産の評価は「時価」による旨だけ規定されており「時価」の内容を巡っては法律の解釈の問題となっています。
「時価」について「不動産鑑定評価」が用いられる場合もありますが、一般的には「財産評価基本通達(以下、通達)」が用いられます。
財産評価基本通達とは?
通達は、国税庁長官によって定められたものであり、法律ではありません。
通達とは、行政内部の機関や職員に対して拘束力を有するものであり、国民一般に対して効力を有するものではありません。
しかし法的には通達の内容が合理的なものである限り、有効なものと解されています。
また、実務上においても通達により評価が行われるのが一般的です。
趣旨
通達は全国画一の評価方法によって、財産の評価を行うものであり、次のような趣旨があります。
- 納税者間の公平
- 取得者によって異なる評価額が算出されてしまうことを回避
- 納税者の便宜
- 納税者自身が自己の資産についてどれくらいの評価額なのか予見することが可能
- 徴税費用の節減
- 資産を個別評価するのではなく、全国一律の評価方法によって評価をすることにより徴税費用を節減
- 評価の安全性
- 全国一律の画一的な評価方法のため、一般的な市場価格以下の価格が算出されるようになっています。
【通達】土地の評価方法は?
土地は地目ごとに、評価方法が定められていますが特に重要な宅地の評価方法をご紹介します。
宅地の評価方法は次の2つがあります。
①路線価方式:主に市街地の宅地についてこの方式が使われます。
①路線価方式
道路(路線)に価格が設定されることから『路線価』と呼ばれます。
路線価は全国地価マップで簡単に見ることができます。
評価不動産が接道する路線価に各種補正をして最後に面積を乗じて評価額を決定します。
②倍率方式:路線価方式が使えない宅地についてこの方式が使われます。
②倍率方式
倍率方式は固定資産税評価額に国税庁が定めた倍率を乗じて求めることができます。
固定資産税評価額はその宅地の所有者であれば、簡単に知る事ができます。
倍率も上記全国地価マップで簡単に見ることができます。
【通達】家屋の評価方法は?
家屋の評価方法は、次のように評価します。
①自用家屋
固定資産税評価額×1.0(※)
(※)つまり固定資産税評価額がそのまま家屋の評価額となります。
②貸家
固定資産税評価額×1.0×(1-借家権割合)
他人に貸している分、評価が減額されるイメージです。
借家権割合は全ての地域で30%と設定されていますので、自用家屋の70%が貸家の評価額と計算できます。
まとめ
不動産は同じものが2つとない、個別性の強い資産です。
したがってその価格も個々の不動産ごとに様々な条件を加味して形成されます。
しかし相続や贈与があるごとに個別評価をすることは合理的でないため、通達によって(簡便に)不動産が評価されています。
通達は課税のためには通達は非常に合理的で便利なものです。
ただし、通達による評価額は時価ではありません。
通達はあくまで相続・贈与税を課税するためだけの簡便な評価ですので、これをもとに遺産分割や親族間売買を行うのはトラブルの元です。
不動産の適正な時価を知りたい場合には、個別不動産について価格形成要因をしっかりと分析して評価する不動産鑑定がトラブル防止になり得ます。
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