投下資本収益率の意義

投下資本収益率とは、投下資本に対する標準的な収益率の事で、開発計画期間内におけるキャッシュフローを価格時点に割り戻すための率として認識されます。

不動産鑑定評価基準上、価格を求める手法である「開発法」と「控除する方法」の適用において使用される率です。

開発法
開発法の意義解説
控除する方法
控除する方法の意義解説

投下資本収益率は次の内容で構成されています。

借入金利率(または自己資本配当率)

基準貸付利率や長期プライムレート等を基準として、対象不動産の投資対象としての個別性(期間・形態・流動性等)に応じた標準的な貸付金利が基礎となります。
自己資本で開発事業を行う際もこれが目安となります。

要素
1

開発利潤率

デベロッパー(開発事業者)の適正な利潤率のことをいいます。
この把握にあたっては、金額と期間の関連に注意が必要です。

要素
2

危険負担率

開発事業に対するリスクのことをいいます。
この把握にあたっては、不動産を取り巻く常況を背景にして、利用形態、品等、構成比率等を考慮して査定します。

要素
3

投下資本収益率の求め方

投下資本収益率はいわゆる「積上げ法」や「内部収益率(Internal Rate of Return(IRR)分析」があります。

積上げ法

積上げ法は上記の3要素をそれぞれ査定して、その率を積み上げることにより査定する方法です。

借入金利率(又は自己資本配当率)+開発利潤率+危険負担率=投下資本収益率

IRR分析法

IRRは、将来収入の現在価値の合計と投資額が等しくなるような割引率です。

もし借入金利率を投資額に含めないのであれば投下資本収益率と構成要素が同じになることから、このIRR分析から投下資本収益率にアプローチすることもできます。

なお、IRR自体はエクセルを使えば簡単に計算できます。

投下資本収益率の水準

標準的なレンジとして次のように掲げられている資料があります。

【一体利用の場合】

前提:大手業者施行の中規模マンション
投下資本収益率:年8%から12%

【分割利用の場合】

前提:地元業者施行の小規模開発
投下資本収益率:年12%から15%

投下資本収益率と還元利回り(R)の関係

投下資本収益率は還元利回りよりも高くなるのが通常ですが、それは開発事業に関する様々なリスクがあるためです。

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