賃貸事例比較法

賃貸事例比較法の意義

賃貸事例比較法は新規賃料求める手法と継続賃料を求める手法の両方に記載があります。

賃貸事例比較法は、まず多数の新規の賃貸借等の事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る実際実質賃料(実際に支払われている不動産に係るすべての経済的対価をいう。)に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた賃料を比較考量し、これによって対象不動産の試算賃料を求める手法である(この手法による試算賃料を比準賃料という。)。

(不動産鑑定評価基準 総論第7章第2節Ⅱ2)

意義の解説

大まかな構成は次の通りです。
収集した賃貸事例に各種補正を行って対象不動産の賃料を試算します。

事例選択

鑑定評価基準では次の要件の全部を備えた事例を選択することとされています。

事例適格要件

①近隣地域または類似地域若しくは周辺の地域等に存在するもの
②取引事情が正常なもの又は正常に補正ができるもの
③時点修正が可能なもの
④地域要因及び個別的要因の比較が可能なもの
⑤契約内容類似性(※)

契約内容の類似性を判断する際の留意事項を例示すれば、次のとおりである。
(ア)賃貸形式
(イ)賃貸面積
(ウ)契約期間並びに経過期間及び残存期間
(エ)一時金の授受に基づく賃料内容
(オ)賃料の算定の期間及びその支払方法
(カ)修理及び現状変更に関する事項
(キ)賃貸借等に供される範囲及びその使用方法

不動産鑑定評価基準 留意事項

事情補正

特殊な事情が存在する場合には、適切に補正ができる場合のみ採用することができます。

時点修正

賃貸事例の時点修正は、賃貸事例の契約期間の機種と価格時点との間の賃料水準の変動に応じて行います。

地域要因の比較

「対象不動産の存する地域」と「賃貸事例の存する地域の要因」を比較する必要があります。
なお、価格を求める場合の地域と賃料を求める場合の地域ではその範囲が異なることがあります。

個別的要因の比較

賃料を求める際の個別的要因の比較にあたっては、契約内容・土地・建物・建物及びその敷地に関する個別的要因を考慮することが必要です。

比準賃料

上記手順を経て得た試算賃料を比準賃料といいます。


適用する場面

賃貸事例比較法は、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の賃貸借等が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等が行われている場合に有効である。

(不動産鑑定評価基準 総論第7章第2節Ⅱ2)

賃貸事例比較法の適用にあたっては、特に継続賃料の賃貸事例収集が著しく困難であり、また、要因比較が困難であることから適用ができない場合もあります。


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