宅地地域

宅地地域の種別(全体像)

宅地地域

宅地地域の意義

宅地地域とは、居住、商業活動、工業生産活動等の用に供される建物、構築物等の敷地の用に供されることが、自然的、社会的、経済的及び行政的観点からみて合理的と判断される地域をいい、住宅地域、商業地域、工業地域等に細分される。

不動産鑑定評価基準 総論第2章第1節Ⅰ

宅地地域は、住宅だけでなく、事務所や工場等の敷地に使われることが合理的な地域のことをいいます。
(※住宅だけでないことに注意です)

そして、住宅地域・商業地域・工業地域に細分されます。

住宅地域

住宅地域

住宅地域は、住宅の用に供されることが自然的、社会的、経済的、行政的観点から見て合理的と判断される地域をいいます。

住宅地域の地域要因

住宅地域における地域要因は主に「居住の快適性」や「生活の利便性」に着目して判断を行う必要があります。

不動産鑑定評価基準には次のように例示されています。

住宅地域の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1)日照、温度、湿度、風向等の気象の状態
(2)街路の幅員、構造等の状態
(3)都心との距離及び交通施設の状態
(4)商業施設の配置の状態
(5)上下水道、ガス等の供給・処理施設の状態
(6)情報通信基盤の整備の状態
(7)公共施設、公益的施設等の配置の状態
(8)汚水処理場等の嫌悪施設等の有無
(9)洪水、地すべり等の災害の発生の危険性
(10)騒音、大気の汚染、土壌汚染等の公害の発生の程度
(11)各画地の面積、配置及び利用の状態
(12)住宅、生垣、街路修景等の街並みの状態
(13)眺望、景観等の自然的環境の良否
(14)土地利用に関する計画及び規制の状態

不動産鑑定評価基準 総論第3章第2節Ⅰ1

住宅地の個別的要因

住宅地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
① 地勢、地質、地盤等
② 日照、通風及び乾湿
③ 間口、奥行、地積、形状等
④ 高低、角地その他の接面街路との関係
⑤ 接面街路の幅員、構造等の状態
⑥ 接面街路の系統及び連続性
⑦ 交通施設との距離
⑧ 商業施設との接近の程度
⑨ 公共施設、公益的施設等との接近の程度
⑩ 汚水処理場等の嫌悪施設等との接近の程度
⑪ 隣接不動産等周囲の状態
⑫ 上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無及びその利用の難易
⑬ 情報通信基盤の利用の難易
⑭ 埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態
⑮ 土壌汚染の有無及びその状態
⑯ 公法上及び私法上の規制、制約等

不動産鑑定評価基準 総論第3章第3節Ⅰ1

住宅地域の細分化

住宅地域は、さらに次の区分に細分されます。

高級住宅地域

敷地が広く、街区及び画地が整然とし、植生と眺望、景観等が優れ、建築の施工の質の高い建物が連たんし、良好な近隣環境を形成する等居住環境の極めて良好な地域であり、従来から名声の高い住宅地域

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

中級住宅地域

敷地の規模及び建築の施工の質が標準的な住宅を中心として形成される居住環境の良好な住宅地域

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

普通住宅地域

比較的狭小な戸建住宅及び共同住宅が密集する住宅地域又は住宅を主として店舗、事務所、小工場等が混在する住宅地域

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

農家住宅地域

都市の通勤圏の内外にかかわらず、在来の農家住宅等を主とする集落地域及び市街地的形態を形成するに至らない住宅地域

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

商業地域

商業地域

商業地域は、商業の用に供されることが自然的、社会的、経済的、行政的観点から見て合理的と判断される地域をいいます。

商業地域の地域要因

商業地域における地域要因は主に「繁華性」や「収益性」に着目して判断を行う必要があります。

不動産鑑定評価基準には次のように例示されています。

前記1.に掲げる地域要因のほか、商業地域特有の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1)商業施設又は業務施設の種類、規模、集積度等の状態
(2)商業背後地及び顧客の質と量
(3)顧客及び従業員の交通手段の状態
(4)商品の搬入及び搬出の利便性
(5)街路の回遊性、アーケード等の状態
(6)営業の種別及び競争の状態
(7)当該地域の経営者の創意と資力
(8)繁華性の程度及び盛衰の動向
(9)駐車施設の整備の状態
(10)行政上の助成及び規制の程度

不動産鑑定評価基準 総論第3章第2節Ⅰ2

商業地の個別的要因

商業地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
① 地勢、地質、地盤等
② 間口、奥行、地積、形状等
③ 高低、角地その他の接面街路との関係
④ 接面街路の幅員、構造等の状態
⑤ 接面街路の系統及び連続性
⑥ 商業地域の中心への接近性
⑦ 主要交通機関との接近性
⑧ 顧客の流動の状態との適合性
⑨ 隣接不動産等周囲の状態
⑩ 上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無及びその利用の難易
⑪ 情報通信基盤の利用の難易
⑫ 埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態
⑬ 土壌汚染の有無及びその状態
⑭ 公法上及び私法上の規制、制約等住宅地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。

不動産鑑定評価基準 総論第3章第3節Ⅰ1

商業地域の細分化

商業地域は、さらに次の区分に細分されます。

高度商業地域

高度商業地域は、例えば、大都市(東京23 区、政令指定都市等)の都心又は副都心にあって、広域的商圏を有し、比較的大規模な中高層の店舗、事務所等が高密度に集積している地域であり、高度商業地域の性格に応じて、さらに、次のような細分類が考えられる。

ア 一般高度商業地域
主として繁華性、収益性等が極めて高い店舗が高度に集積している地域

イ 業務高度商業地域
主として行政機関、企業、金融機関等の事務所が高度に集積している地域

ウ 複合高度商業地域
店舗と事務所が複合して高度に集積している地域

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

準高度商業地域

高度商業地域に次ぐ商業地域であって、広域的な商圏を有し、店舗、事務所等が連たんし、商業地としての集積の程度が高い地域

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

普通商業地域

高度商業地域、準高度商業地域、近隣商業地域及び郊外路線商業地域以外の商業地域であって、都市の中心商業地域及びこれに準ずる商業地域で、店舗、事務所等が連たんし、多様な用途に供されている地域都市の通勤圏の内外にかかわらず、在来の農家住宅等を主とする集落地域及び市街地的形態を形成するに至らない住宅地域

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

近隣商業地域

主として近隣の居住者に対する日用品等の販売を行う店舗等が連たんしている地域

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

郊外路線商業地域

都市の郊外の幹線道路(国道、都道府県道等)沿いにおいて、店舗、営業所等が連たんしている地域

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

工業地域

工業地域

工業地域は、工業の用に供されることが自然的、社会的、経済的、行政的観点から見て合理的と判断される地域をいいます。

工業地域の地域要因

工業地域における地域要因は主に「費用の経済性」や「生産の効率性」に着目して判断を行う必要があります。

不動産鑑定評価基準には次のように例示されています。

前記1.に掲げる地域要因のほか、工業地域特有の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1)幹線道路、鉄道、港湾、空港等の輸送施設の整備の状況
(2)労働力確保の難易
(3)製品販売市場及び原材料仕入市場との位置関係
(4)動力資源及び用排水に関する費用
(5)関連産業との位置関係
(6)水質の汚濁、大気の汚染等の公害の発生の危険性
(7)行政上の助成及び規制の程度

不動産鑑定評価基準 総論第3章第2節Ⅰ3

工業地の個別的要因

工業地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
① 地勢、地質、地盤等
② 間口、奥行、地積、形状等
③ 高低、角地その他の接面街路との関係
④ 接面街路の幅員、構造等の状態
⑤ 接面街路の系統及び連続性
⑥ 従業員の通勤等のための主要交通機関との接近性
⑦ 幹線道路、鉄道、港湾、空港等の輸送施設との位置関係
⑧ 電力等の動力資源の状態及び引込の難易
⑨ 用排水等の供給・処理施設の整備の必要性
⑩ 上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無及びその利用の難易
⑪ 情報通信基盤の利用の難易
⑫ 埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態
⑬ 土壌汚染の有無及びその状態
⑭ 公法上及び私法上の規制、制約等

不動産鑑定評価基準 総論第3章第3節Ⅰ1

商業地域の細分化

工業地域は、さらに次の区分に細分されます。

大工場地域

標準的な敷地の規模が、30,000平方メートル程度の大規模な工場が立地している地域

中小工場地域

標準的な敷地の規模が3,000平方メートル程度の中小規模な工場が立地している地域

家内工場地域

標準的な敷地の規模が300㎡程度までの家内工場が集中している地域

地域と価格形成要因

不動産の価格は地域によって価格形成要因が異なります。

地域によって重視する要因は次の通りです。

項目重視する要因
住宅地居住の快適性・利便性
商業地繁華性・収益性
工業地生産性・効率性

その他の地域


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