過去時点

価格時点・評価時点・実地調査日

鑑定評価報告書への記載しなければならない時点として、次のものがあります。

価格時点(現在時点、過去時点、将来時点)

鑑定評価額の判定の基準日
鑑定評価額はこの時点においてのみ妥当します

1

実地調査を行った年月日(実地調査日)

現地で対象不動産を調査した日
後日、現況把握に疑義が生じた場合を考慮して記載します

2

鑑定評価を行った年月日(評価時点)

鑑定評価書を作成し、鑑定評価額を表示した日
価格時点と評価時点の間隔は、資料収集、価格形成要因等に影響するので、評価時点において鑑定評価額に瑕疵がないことを立証するために記載します

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価格時点の意義

価格時点

価格形成要因は、時の経過により変動するものであるから、不動産の価格はその判定の基準となった日においてのみ妥当するものである。
したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格の判定の基準日を確定する必要があり、この日を価格時点という。
また、賃料の価格時点は、賃料の算定の期間の収益性を反映するものとしてその期間の期首となる。

不動産鑑定評価基準 総論第5章第2節

鑑定評価の基本的事項として価格時点を確定しなければならない理由は次の2点です。

⑴不動産の価格は常に変動しているものであるから、価格判定の基準日を確定する必要があること。

⑵各手法で使用する取引事例等の時点が価格時点と異なる時点のものである場合には、価格時点の価格に時点修正を行わなければならないこと。

過去時点の意義

価格時点は、鑑定評価を行った年月日を基準として現在の場合(現在時点)、過去の場合(過去時点)及び将来の場合(将来時点)に分けられる。

不動産鑑定評価基準 総論第5章第2節

価格時点は、鑑定評価を行った年月日(=評価時点)を基準として分けられます。

過去時点

鑑定評価を行った年月日は常に現在ですので、過去の時点の不動産を鑑定評価する際には『過去時点』となります。

過去時点の鑑定評価を行える場合

過去時点の鑑定評価については、留意事項に要件が定められています。

過去時点の鑑定評価は、対象不動産の確認等が可能であり、かつ、鑑定評価に必要な要因資料及び事例資料の収集が可能な場合に限り行うことができる。

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

要件は次の2点です。

⑴対象不動産の確認等が可能であること。

⑵鑑定評価に必要な資料の収集が可能であること。

それぞれの要件について見ていきます。

⑴対象不動産の確認等が可能であること

対象不動産の過去の状況は、現時点において確認することが難しくなりますが、過去時点の写真や建物等の状況がわかる資料が豊富にあることが必要です。

googleストリートビューと過去時点

googleストリートビューとは、目的の場所をさも歩いているかのように表示することができるgoogleマップの機能です。
実はこの機能、過去の時点も見ることができますので過去時点の評価の際には非常に役に立ちます。

⑵鑑定評価に必要な資料の収集が可能であること

対象不動産にかかる価格形成要因は、すべて過去のものとなっているため、現時点においては認識困難になっています。
したがって、鑑定評価の過程を明確に説明でき、依頼者及び利害関係者を納得させることができる程度の客観的な資料を収集することが必要です。

なお、この資料については注意が必要です。

また、時の経過により対象不動産及びその近隣地域等が価格時点から鑑定評価を行う時点までの間に変化している場合もあるので、このような事情変更のある場合の価格時点における対象不動産の確認等については、価格時点に近い時点の確認資料等をできる限り収集し、それを基礎に判断すべきである。

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

現時点において把握できる過去の価格形成要因は、過去時点においては知り得ず、過去の時点においては価格形成要因に影響を与えていません。

したがって現在の要因資料からその状況を遡って類推するのではなく、過去時点における要因資料を収集することが必要となります。

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