はじめに

ここでは、「価格等調査ガイドライン」についてご紹介します。

不動産鑑定についてなるべく多くの方に知って頂きたいという思いでおりますので、正確性よりもわかりやすさを優先しています。

実際の案件でお困りの際は、必ず不動産鑑定士にご相談ください。


価格等調査ガイドラインとは?

一般的に価格等調査ガイドラインと呼ばれていますが、正式名称は

「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」

と言います。

価格等調査ガイドラインの位置づけ


価格等調査ガイドラインとは一言で言うと【国土交通省が定めるもので、不動産鑑定業者が遵守しなければならないもの】です。

もしも不当な鑑定が行われたと疑われる場合には、この価格等調査ガイドラインや不動産鑑定評価基準の内容に照らしてその不当性が判定されることになるからです。
(不当な鑑定評価等及び違反行為に係る処分基準より)

なお、価格等調査ガイドラインは平成22年1月1日から施行されており、同日以後に契約を締結する価格等調査から適用されています。

不動産鑑定士試験と価格等調査ガイドライン

令和3年度の時点で、短答式・論文式ともに価格等調査ガイドラインは出題範囲外となっています。

重要な割にその内容をしっかりと学ぶ機会が少ないので、注意です。

価格等調査ガイドラインを知るための予備知識

価格等調査ガイドラインは不動産鑑定評価基準や鑑定法との絡みが複雑で迷子になってしまいがちです。

価格等調査ガイドラインを学ぶ前にまず、これだけは知っておきたい知識を図にしました。

  • 価格等を求める業務は価格等調査ガイドラインが適用されます。(上図の赤色部分)
  • 鑑定法上、不動産鑑定業者の業務は「鑑定評価業務」と「隣接・周辺業務」に分けられます。(上図の青色部分)
  • 価格等を求めない業務は、価格等調査ガイドラインの適用はありませんが、鑑定法における第3条第2項業務にあたる可能性があります。(上図の黄色部分)
  • 鑑定評価基準に全て則った成果報告書のみが、「不動産鑑定評価書」という名称になり、鑑定評価基準に一部でも則っていない場合には、実務上「調査報告書」「意見書」などの名称が良く使われます。(上図の緑色部分)

成果報告書の名称について

一般の方にとってはその違いが分かりにくいと思いますが、「不動産鑑定評価書」と「不動産調査報告書等」は意味が大きく異なります。

前述の通り、鑑定評価基準に全て則った成果報告書のみが「鑑定」という表現を使うことができるからです。

例えば公的機関から「鑑定評価書」の提出を求められた際に「調査報告書」では受け付けてもらえない場合があります。

簡易鑑定とは

以前は「簡易鑑定」という成果報告書が発行されていましたが、価格等調査ガイドラインの登場によってほぼなくなりました。

(簡易ということは鑑定評価基準を満たしていないと考えられ、鑑定評価基準に則っていなければ「鑑定」を使ってはいけないからです。)

構成

価格等調査ガイドラインは、不動産鑑定評価基準よりも分量は少ないですが、まとめてご紹介するには大変ですので、構成ごとにページを分けています。
気になる箇所、知りたい箇所をご覧ください。

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