はじめに

ここでは、財務諸表のための価格調査についてその全体像と内容をわかりやすくご紹介します。
全体像をわかりやすく知って頂くことを目的としているため、正確性よりもわかりやすさを優先しております。
実際案件のご相談は必ず不動産鑑定士に直接お問い合わせください。

財務諸表のための価格調査とは

企業会計基準に則った財務諸表を作成するために、不動産の時価が必要になる場合があります。

日本における不動産の時価評価に関連する企業会計基準は次のようなものがあります。

会計基準適用開始
固定資産の減損に係る会計基準平成17年4月1日
棚卸資産の評価に関する会計基準平成20年4月1日
賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準平成22年3月31日
企業結合に関する会計基準平成22年4月1日

財務諸表のための価格調査の要請事項

財務諸表のための価格調査にあたって不動産鑑定業者は、「①社会的な要請」「②依頼者からの要請」「③技術的な要請」が求められます。

①社会的な要請

財務諸表は投資家や債権者等に大きな影響を与えるため、信頼性の高い鑑定評価等の業務が求められます。

②依頼者からの要請

企業会計における不動産の時価評価の一部義務化により、鑑定評価業務の発注に慣れていない依頼者でも安心して依頼を行うことができる環境作りが求められます。

技術的な要請

広範囲に存在する大量の不動産を共通視点で評価を行うこと、また、企業会計制度に関する知識が求められます。

財務諸表のための価格調査を行う指針

これらの要請を満たす価格調査を行うための指針として、次のような指針に則って鑑定評価等を行う必要があります。

不動産鑑定評価基準

国土交通省が定めるもので、不動産鑑定士が不動産鑑定評価を行う場合の技術的な指針となるものです。

価格等調査ガイドライン

国土交通省が定めるもので、不動産鑑定士が価格等調査を行う場合の手続的な指針となるものです。

財務諸表のための価格調査の実施に関する基本的考え方

国土交通省が定めるもので、不動産鑑定士が財務諸表目的の価格調査を行う場合の基本的考え方を示すものです。

財務諸表のための価格調査に関する実務指針

日本不動産鑑定士協会連合会が定めるもので、不動産鑑定士が財務諸表の価格調査を行う場合の実務的な指針となるものです。

財務諸表は投資家・債権者に重要な情報を提供するものであり、不動産の時価はこれらの利害関係者の意思決定に大きな影響を与えます。

そこで財務諸表の価格調査は、通常の鑑定評価よりも制約が多く、不動産鑑定業者はこのような基準等を遵守して価格調査を行うことが求められます。

不動産の時価に関する会計基準

不動産の時価に関する会計基準とその必要場面について簡単にご紹介します。

固定資産の減損に係る会計基準

(1)減損の兆候の把握

(2)減損損失の認識の判定

(3)減損損失の測定

棚卸資産の評価に関する会計基準

(1)販売用不動産の正味売却価額を求める場合

(2)販売用不動産等の販売見込額又は完成後販売見込額を求める場合

販売用不動産

賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準

(1)賃貸等不動産の総額についての重要性を判断する際に、賃貸等不動産の時価を算定する場合

(2)賃貸等不動産の時価を財務諸表に注記するために賃貸等不動産の時価を算定する場合

賃貸事例比較法

企業結合に関する会計基準

(1)企業結合

(2)事業分離

(3)連結

会計基準ごとの詳細

それぞれの会計基準において不動産の時価が必要な場面、原則的時価算定とみなし時価算定との峻別、その有効性について詳細にご紹介します。

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