はじめに
ここでは、不動産鑑定評価基準について過去から現在までの改正内容をわかりやすくご紹介します。
全体像をおおまかに知って頂くことを目的としているため、正確性よりもわかりやすさを優先しております。
実際案件のご相談は必ず不動産鑑定士に直接お問い合わせください。
不動産鑑定評価基準とは
不動産鑑定評価基準とは不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行うに当たっての統一的な基準のことです。
この不動産鑑定評価基準は法律ではありませんが、遵守しなければ不当鑑定として処罰されることになります。
※不動産鑑定士試験に合格するためには不動産鑑定評価基準をひたすら勉強する必要があります。
不動産鑑定評価基準の遷移
不動産鑑定評価基準は、その時代背景や社会的なニーズに伴い随時改定が行われてきました。
具体的には次のように遷移しています。
基準 | 種別 |
---|---|
昭和39年 不動産の鑑定評価基準 | 制定 |
昭和40年 宅地見込地の鑑定評価基準 | 制定 |
昭和41年 賃料の鑑定評価基準 | 制定 |
昭和44年 不動産鑑定評価基準 | 評価基準の一本化 |
平成2年 不動産鑑定評価基準 | 全部改正 |
平成14年 不動産鑑定評価基準 | 改正 |
平成19年 不動産鑑定評価基準 | 改正 |
平成21年 不動産鑑定評価基準 | 改正 |
平成26年 不動産鑑定評価基準 | 改正 |
昭和39年の「不動産の鑑定評価基準」と昭和40年の「宅地見込地の鑑定評価基準」昭和41年の「賃料の鑑定評価基準」の3つの基準が昭和44年に1つの基準として統合されました。
これが「不動産鑑定評価基準」であり、その後改定されていきます。
現行基準は平成26年に改正された基準であり、以後現在まで改正はありません。(令和4年2月現在)
不動産鑑定評価基準の改正内容
各改正内容についてざっくりとご紹介します。
平成26年 不動産鑑定評価基準の改正点【現行基準】
- 建物に係る価格形成要因の充実
- 原価法に係る規定の見直し
- スコープ・オブ・ワークの概念の導入
- 価格概念に関するIVSとの整合性の向上
平成21年 不動産鑑定評価基準の改正点
- 総論第8章 鑑定評価の手順に「第2節 依頼者、提出先及び利害関係者の確認」が追加
- 総論第9章 鑑定評価報告書の記載事項に項目追加
平成19年 不動産鑑定評価基準の改正点
- 基準各論第3章の創設
平成14年 不動産鑑定評価基準の改正点
- 価格概念の明確化
- 収益還元法の体系的整理
- 市場分析の重視
- 試算価格の調整の意義を明確化
- 物件の詳細調査
平成2年 不動産鑑定評価基準の改正点
- 鑑定評価基準運用上の留意事項の創設
- 鑑定評価方式の充実
- 価格・賃料の種類の整理
- 継続賃料手法の整備
平成44年 不動産鑑定評価基準の改正点
- 3つの基準の統一基準
- 鑑定評価の基本的事項の創設
- 価格・賃料の種類の整理
- 地域分析の創設
- 各論の創設
昭和41年 賃料の鑑定評価基準の制定
- 賃料の種類
- 宅地の賃料を求める方法
昭和40年 宅地見込地の鑑定評価基準の制定
- 宅地見込地の定義
- 宅地見込地の個別的要因
- 宅地見込地の鑑定評価
- 宅地見込地の総合的比較考量事項
昭和39年 不動産の鑑定評価基準の制定
- 価格の種類
- 復成式評価法
- 市場資料比較法
- 収益還元法
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