
代替の原則の意義
代替性を有する二以上の財が存在する場合には、これらの財の価格は、相互に影響を及ぼして定まる。
不動産の価格も代替可能な他の不動産又は財の価格と相互に関連して形成される。
不動産鑑定評価基準 総論第4章Ⅲ
一般財の場合

代替性を有する財の価格はそれぞれ相互に影響して決まります。
スマートフォンであれば、androidとiPhoneはいずれも代替性があります。
例えば価格設定の際にandroid側はiPhoneの価格を考慮するでしょうし、iPhone側もandroidの価格を考慮するはずです。
これが、「相互に影響を及ぼして定まる」の意味です。
不動産の場合

不動産の価格も一般財の場合と同じで、代替性のある不動産の価格は相互に影響を及ぼします。
不動産同士の価格が影響を及ぼし合って定まるのはもちろんですが、不動産鑑定基準ではより広い観点から他の財(株式、貴金属、債券)と影響を及ぼして定まるとしています。
何故なら不動産を投資の手段だと考えると、株式・貴金属・債券等も不動産の代替財と考えることができるからです。
鑑定評価と代替の原則
代替の原則は、不動産の鑑定評価手法の基礎となる原則と言えます。
不動産の鑑定評価手法には、原価法、取引事例比較法、収益還元法等があります。
原価法
原価法とは、不動産の再調達原価に減価修正を行って不動産価格にアプローチする手法です。
例えばある不動産が欲しいとします。
このときその不動産の価格と似たような不動産を新たに建築する価格が全く同じであれば、多くの方は新たに建築することを選ぶと思います。
つまり、ある不動産の価格と再調達原価は代替関係にあります。
取引事例比較法
取引事例比較法は、対象不動産と類似する不動産の取引事例から不動産価格にアプローチする手法です。
取引事例が対象不動産と代替関係にあるからこそ、この手法が成立し得ます。
(したがって取引事例は代替競争関係にある不動産であることが必要です)
収益還元法
収益還元法は不動産から生み出される純収益から不動産価格にアプローチする手法です。
A投資不動産が生み出す純収益とB投資不動産が生み出す純収益がほぼ同じであれば、それぞれの不動産には代替関係が成立します。
他の原則との関係
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