競争の原則の意義
一般に、超過利潤は競争を惹起し、競争は超過利潤を減少させ、終局的にはこれを消滅させる傾向を持つ。
不動産についても、その利用による超過利潤を求めて、不動産相互間及び他の財との間において競争関係が認められ、したがって、不動産の価格は、このような競争の過程において形成される。
不動産鑑定評価基準 総論第4章Ⅹ
競争の原則は一般の経済法則を基礎とする原則ですが、不動産鑑定の立場から表現されたものになります。
内容
例えば、ある地域に新しい駅が完成したとします。
既にそのエリアにあった賃貸用マンションは1つだけです。
この賃貸用マンションは新駅ができたことにより需要が大幅に上昇して、高賃料かつ入居率が常に100%のような状態だったとします。
このような状況が「超過利潤」と呼ばれるものです。
しかし超過利潤はいつまでも存在しません。
なぜなら、超過利潤があるところには必ず新規参入が起こるからです。
(鑑定評価基準では、「超過利潤は競争を惹起する」と表現しています)
新規参入が起こることにより、既存のマンションは新規参入してきた他のマンションと競争が起こり賃料が下がります。(=超過利潤の減少)
他のマンションより賃料が高いと、他のマンションに移り住んでいってしまうためです。
競争の結果、超過利潤は徐々に減少していき最終的には利潤がなくなるまで競争が続きます。
(利潤は利益と異なります。機会費用も考慮しているのが利潤です。)
賃料の具体例でご説明しましたが、価格の場合も競争の過程で形成されるといえます。
鑑定評価と競争の原則
鑑定評価においては地域分析や取引事例比較法の事例選択、収益還元法の収益の査定を行う際にも活用されます。
地域分析:対象不動産と代替関係にある不動産との比較、競争力の程度等を分析
取引事例比較法の事例選択:代替競争関係にある不動産から事例を選択する
収益還元法の収益の査定:標準的な収益を査定する際に競争と市場の状況を分析する
他の原則との関係
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