借地権割合法の意義
不動産鑑定評価基準では借地権割合法の定義は出てきませんが、更地価格に借地権割合を乗じることにより借地権価格を求める手法を借地権割合法と呼びます。
意義の解説
大まかな構成は次の通りです。
借地権割合
借地権割合には「路線価の借地権割合」と「鑑定評価の借地権割合」があります。
路線価の借地権割合
路線価の借地権割合は国税庁により公表されていますので、どなたでも簡単に確認することができます。
記号 | 借地権割合 |
---|---|
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
路線価の借地権割合は相続税の課税価格計算を目的としていますので、水準を知るには有用ですが、市場の実態まで反映しているものではありません。
不動産鑑定評価の借地権割合
不動産鑑定評価の借地権割合は「研究報告」に次のように求めると記載があります。
借地権の取引慣行の成熟の程度の高い地域において適用される「借地権割合法」の借地権割合は、当該地域の標準的な態様の借地権価格の更地価格に対する割合から当該地域の標準的な借地権割合を把握し、対象不動産の借地契約の内容、契約締結の経緯及び経過した借地期間等の借地権の個別性を考慮して適正に修正して求めるとされている。
研究報告 借地権の鑑定評価に関する論点整理
借地権・底地の価格は市場性に劣り、それぞれの価格の合計額は更地価格に及ばないのが通常です。
しかし路線価評価では借地権価格と底地価格の合計額が更地価格になるという前提で借地権割合が定められています。
したがって路線価の借地権割合により評価した借地権価格は市場価値を超過する可能性が高く、鑑定評価においては安易に路線価の借地権割合を用いるべきではないとされています。
総合的勘案事項
なお、借地権評価にあたっては次の事項を総合的に勘案する必要があります。
(ア)将来における賃料の改定の実現性とその程度
(不動産鑑定評価基準 各論第1章第1節Ⅰ3)
(イ)借地権の態様及び建物の残存耐用年数
(ウ)契約締結の経緯並びに経過した借地期間及び残存期間
(エ)契約に当たって授受された一時金の額及びこれに関する契約条件
(オ)将来見込まれる一時金の額及びこれに関する契約条件
(カ)借地権の取引慣行及び底地の取引利回り
(キ)当該借地権の存する土地に係る更地としての価格又は建付地としての価格
(ク)借地期間満了時の建物等に関する契約内容
(ケ)契約期間中に建物の建築及び解体が行われる場合における建物の使用収益が期待できない期間
借地権割合法による価格
以上のように「更地としての価格」に「借地権割合」を乗じることより【借地権割合法による価格】をもとめます。
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