基準に規定のない手法

不動産鑑定評価基準には「公租公課倍率法」という手法は定められていません。

不動産の賃料を求める鑑定評価の手法は、新規賃料にあっては積算法、賃貸事例比較法、収益分析法等があり、継続賃料にあっては差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法等がある。

不動産鑑定評価基準 総論第7章第2節

しかし、基準の文言を見ると、「~等がある。」とされていることから他の手法も黙示的に認められると解釈されます。

不動産鑑定評価基準に載っていない方法を使うのはマズい?

鑑定評価基準に記載されていないことをすると「鑑定評価基準違反だ」「不当鑑定だ」という方がいらっしゃるそうです。
(幸いなことに私はお会いしたことはありません)

たしかに不動産鑑定評価基準は不動産鑑定士が守らなければならない規範ですが、評価技術の進歩改善を妨げるものでもありません。
したがって、基準にある方法を適用したうえで追加項目として適用するのであれば問題ないと考えます。

不動産鑑定評価基準は制定日から今日まで進歩改善されてきたことを忘れるべきではありません。

この手法は実務上適用される場合がありますのでご紹介します。

公租公課倍率法の意義

公租公課倍率法は地代を求める手法で

「対象地に課税される固定資産税と都市計画税の合計額(公租公課)に一定倍率を乗じた額を地代とする手法」

と言えます。

この手法は、土地の公租公課と地代の間にみられる関係性に着目して、土地の地代にアプローチするものです。

意義の解説

大まかな構成は次の通りです。

公租公課】に【倍率】を乗じたものが【公租公課倍率法による地代】となります。

それぞれの構成要素について見ていきます。

公租公課

固定資産税・都市計画税は対象地のものを使用します。

固定資産税通知書に載っている金額を確認します。

固定資産税評価は3年に1度

固定資産税評価額は3年に1度しか評価替えが行われません。この手法を適用するにあたって、地価の変動率が激しい場合にはその適用には十分注意が必要です。

倍率

公租公課倍率法はこの倍率の査定ですべてが決まるといっても過言ではありません。

地代水準は、商業地域or住宅地域、非住宅or住宅、堅固or非堅固かによって異なりますので、これらを考慮することも重要です。

具体的には、収集した地代のデータに基づき、公租公課に対する地代の倍率の調査分析を行います。

(例えば東京都であれば、東京都不動産鑑定士協会の「継続地代の調査分析」という研究資料にデータがまとめられています)

「継続地代の調査分析」によると①商業地域or住宅地域②非住宅地or住宅地③堅固or非堅固の区分別に平均倍率は次のようになっています。

①商業地域or住宅地域

  • 23区の住宅地域 平均3.1倍
  • 23区の商業地域 平均3.5倍

②非住宅地or住宅地

  • 23区の住宅用地 平均3.6倍
  • 23区の非住宅地 平均2.0倍

③堅固or非堅固

  • 23区の堅固建物 平均3.8倍
  • 23区の非堅固建物 平均3.0倍

倍率は単純に平均を使えばいいわけではありません。

契約締結の経緯や事情変更等の事情も踏まえた上で総合的に決定する必要があります。

公租公課倍率法による地代

以上より「公租公課」に「倍率」を乗じることより、地代をもとめます。

有効性

この手法を適用するためには、地代と公租公課の関係を示すデータを豊富に収集できることが必要です。

具体的には東京都不動産鑑定士協会の「継続地代の調査分析」や日税不動産鑑定士会の「継続地代の実態調べ」「実際の地代事例」等によりデータを収集し、個別的な事情を勘案して倍率を決定できる場合に有効です。

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