全体像
まずは価格等調査ガイドライン「Ⅱ業務の目的と範囲等の確定」の全体像をご紹介します。
Ⅰ総論
Ⅱ業務の目的と範囲等の確定
- 依頼目的、利用者の範囲等
- 利害関係等
- 価格等調査の基本的事項?ココ
- 価格等調査の手順
- 不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価額と結果が異なる可能性がある旨
Ⅲ業務の目的と範囲等に関する成果報告書への記載
Ⅳ不動産鑑定士が第3条第2項業務を行う場合の準用
今回は、確定しなければならない項目のうち、➌価格等調査の基本的事項についてご紹介します。
内容
不動産の価格等調査を行うためには、基本的事項と呼ばれる次の事項を確定する必要があります。
価格等調査の基本的事項
- 対象不動産
- 価格等調査の条件
- 対象確定条件
- 想定上の条件
- 調査範囲等条件
- 価格等調査の時点
- 価格等を求める方法又は価格等の種類
- 不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価との主な相違点及びその妥当性
不動産鑑定評価基準と同じような内容ですが、異なる点をピックアップしてご紹介します。
対象不動産
①価格等調査の対象となる土地又は建物等並びに②価格等調査の対象となる所有権及び所有権以外の権利。
価格等調査ガイドライン Ⅱ 3⑴
鑑定評価の基本的事項である「対象不動産」と同じくその対象となる不動産及び権利を確定しなくてはなりません。
価格等調査の条件
不動産鑑定評価基準に定める条件設定の要件を満たさない価格等調査の条件を設定した場合には、不動産鑑定評価基準に則らないこととなる。
この場合には、「1.依頼目的、利用者の範囲等」等に照らして当該価格等調査の条件を設定することが合理的である理由を検証するものとする。
価格等調査ガイドライン Ⅱ 3 ⑵
価格等調査の条件は鑑定評価の条件と同じ内容が掲げられています。
ただし、不動産鑑定評価基準に定められている条件設定の要件を満たさない場合には「不動産鑑定評価基準に則らない価格等調査」になるため、これらの条件を設定することが合理的である理由を検証する必要があるとされています。
価格等調査の時点
価格等調査の基準日。
なお、価格等調査の時点は、価格等調査を行う年月日を基準として①現在の場合(現在時点)、②過去の場合(過去時点)及び③将来の場合(将来時点)に分けられる。
価格等調査ガイドライン Ⅱ 3⑶
不動産鑑定評価基準における「価格時点」と同じ内容です。
価格等を求める方法または価格等の種類
①不動産鑑定評価基準に則らない価格等調査を行う場合は、どのような方法で価格等を求めるのか。
②不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価を行う場合は、不動産鑑定評価基準総論第5章第3節に規定する価格又は賃料の種類(正常価格、限定価格、特定価格、特殊価格等)。
価格等調査ガイドライン Ⅱ 3⑷
不動産鑑定評価基準における「価格又は賃料の種類」に相当する箇所ですが、基準に則らない場合(①)は大きく異なります。
①鑑定評価基準に則らない場合
どのような方法で価格等を求めるのかを確定する必要があります。
例:収益還元法を適用した価格等調査、原価法を適用した価格等調査
なお、基準に定める価格等の種類は表示しないことになっています。
(つまり、「正常価格」「限定価格」「特定価格」「特殊価格」等の文言は表示できないということです)
②鑑定評価基準に則った鑑定評価を行う場合
不動産鑑定評価基準の通りです。
不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価との主な相違点及びその妥当性
(1)から(4)までの全部又は一部が不動産鑑定評価基準に則らない場合は、不動産鑑定評価基準における基本的事項との主な相違点。
なお、併せて「1.依頼目的、利用者の範囲等」等に照らした当該相違点の合理的な理由を検証するものとする。
価格等調査ガイドライン Ⅱ 3⑸
鑑定評価基準に則らない基本的事項を設定する場合には、「価格等調査の基本的事項」と「鑑定評価基準の基本的事項」の相違点を確定しなければいけません。
価格等調査ガイドラインのご紹介
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