制定の背景

昭和39年に「不動産の鑑定評価基準」が制定されましたが、引き続き「不動産の種類別の鑑定評価」を整備する必要がありました。

そこでまず、昭和40年に「宅地見込地の鑑定評価の基準の設定に関する答申」が行われ、次に昭和41年に「賃料の鑑定評価基準の設定に関する答申」で基準が示されました。

この基準は「不動産鑑定評価基準」と一体として運用されるべきものとされていました。

賃料の種類

昭和41年基準では、正常賃料を原則として、例外的に特殊賃料を求めることとされていました。

鑑定評価によって求めるべき賃料は正常賃料を原則とし、不動産の性格上、正常賃料を求めることが適当でない場合、又は賃料の鑑定評価に際して特段の条件が付された場合には特殊賃料とするものとしている。

正常賃料

正常賃料は次のように定義されていました。

正常賃料とは、不動産の賃貸借等に関する自由な市場が存在し、かつ、貸主と借主とが十分に市場の事情に通じ、しかも特別な動機をもたない場合において成立するとみられる適正な賃料をいう。

賃料の鑑定評価基準

正常賃料を求めべき場合として例示されていたのが次の場合です。

1.賃貸借の契約を新規に締結することに関連する場合

2.既存の賃貸借等の契約に基づく賃料の適否の検討に関連する場合

3.公共用地の取得及び土地収用の際における損失の補償に関連する場合

賃料の鑑定評価基準

現在の基準では正常価格の例示はなされていませんが、正常価格概念自体は現在の基準と同じです。

特殊賃料

特殊賃料とは、対象不動産の性格上、正常賃料を求めることが適当でない場合、又は賃料の鑑定評価に際して特段の条件が付された場合において、当該不動産の性格又は当該条件に即応する適正な賃料をいう。

賃料の鑑定評価基準

特殊賃料を求めべき場合として例示されていたのが次の場合です。

1.公共又は公益の目的に供されている不動産の使用料等の算定に関連する場合

2.既存の賃貸借等の契約に基づく賃料の改訂に関連する場合

3.貸主としての投資採算性又は借主としての企業収益性の観点からの賃料の算定に関連する場合

4.上記2 及び3 に掲げるもののほか、特段の条件により契約される賃貸借等に関連する場合

賃料の鑑定評価基準

少し砕いて書くと、次のようにいえます。

  • 行政財産の使用料
  • 継続賃料
  • 貸主の投資採算または借主の企業経営に基づく賃料
  • その他特段の条件による賃料

宅地の賃料を求める方法

積算賃料、比準賃料を関連づけて得た賃料を標準とし、配分法及び土地残余法に準ずる方法に基づく収益賃料を総合的に比較検討して決定する。

賃料の鑑定評価基準

その後の改正

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